強い組織とリーダーシップ

宇宙航空研究開発機構JAXA)有人宇宙ミッション本部宇宙環境利用センター/計画マネージャーであり心理学博士である山口孝夫氏の著書『宇宙飛行士の採用基準~例えばリーダーシップは「測れる」のか~』を読了しました。

 

筆者が働いているJAXANASAで実際に行われている宇宙飛行士の採用試験についての説明や、採用後に宇宙飛行士として一人前にするまでの組織作りについて平易な文章で書かれているので2時間程度で読み切ることが出来ます。
 
JAXANASAなど世界中から集めてこられる頭脳明晰で優秀な人たちが集まる組織でもゴールに向けて走り続けるには結局「人と人」が行うコミュケーションを円滑に行っていくことが大切だと説いています。
 
優秀な人も、そうでない人も、大きな組織でも、小さな組織でも基本的には同じなのではないかと思いました。
 

人間のパフォーマンスには、周囲の環境や健康状況といった 物理的な要因、その時の気分や過去の経験などからくる心理的な要因などが複合的に作用しています。よっと、仮にある日うまくいったからといって、別の日もうまくいくとは限りません。-p.53

 

 「学習性無気力」について

現在、私の職場が正にこの状態で思わず膝を叩いてしまいました。新人さんが入ってきては辞めていくことが止められず、職員にも覇気がなく、職場の空気はどんより曇り空状態が続いています。

経営陣には危機意識がまったくないように見えており私を含め、多くの職員は口にこそ出さないもの、会社に対する忠誠心や改革意識などが完全に消滅してしまっています。

 

 

学習性無気力はアメリカの心理学者アマリカの心理学者マーティン・セリグマンが1967年に発表した概念です。人間は、抵抗・回避が非常に困難なストレスに長期間さらされると、そもそもストレスから逃げようとする自発的行動を起こすことができなくなります。「どうせ何も変わらないんだ」という無気力を、体験から学習してしまうのです。-p.94

 

 

瀕死の組織になってしまっている一番の原因は今まで会社を引っ張っていたリーダー(実質、創業者)が急逝し、その後の組織が迷走し続けているのが原因だと思います。

 

酷な表現になってしまうのは申し訳ないのですが、組織を率いていく次期リーダー、そのリーダーを補佐するフォローワーを育てることを怠った前リーダーの罪は大きいと感じざるえないです。

 

集団を「俺が、俺が!」と牽引する人は本当のリーダーではありません。人に任せ、フォローワーに手柄を譲る、そしてフォローワーを伸ばすために仕事を与え、「よくできたね」と褒めて伸ばしていくことができる人が、本当のリーダーです。そうした、集団を正しく導くことのできる本当のリーダーは、時として集団をより良い状態に保つ本当のフォロワーになることができます。

 

縁があって今の組織に関わることになった訳で、自分としても瀕死状態の組織をなんとかしたいです。微力ではありますが、少しでも現在の状態が改善できるように私もがんばりたいです。